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債務整理

平成18年9月

クレジットカードやサラ金等による多額の借金で困窮するいわゆる多重債務の問題について解説しています。

第1章 問題の所在

  • 債務整理とはどのような問題なのか

    (1) 意義
    ここで取り上げる問題は,企業の債務整理ではなく個人の債務整理である。
    いわゆる個人の多重債務問題である。
    「多重債務」という用語は,一般に自己の返済能力を上回る借金が存在している状態を指す言葉として用いられている。
    この問題は,サラ金からの借金やクレジットカードの使用が度を越した場合が典型であることから,「クレサラ問題」などとも呼ばれている。
    「多重」というと,数多くの借入先があることをイメージするが,借入先が数多くともきちんと返済できるのであれば問題はないし,逆に借入先が1つだけであったとしても,その借入額が自己の返済能力を超えていれば問題になるわけである。
    よって,問題は「多重」な債務という点よりも「過大」な債務という点にあるのだが,問題を抱える多くの人が「多重」な債務を抱えており,過大な債務を抱える人が結果的に多重の債務を抱えてしまうというのがこの問題の1つの顕著な現れであることもあることから,ここでは一般的に広く用いられている用語である「多重債務」という用語を用いることとする。
    (2) 多重債務の何が困るのか
    多重債務状態に陥り,自己の返済能力を超える負債を抱えてしまうと,いくら返済しても利息に充当されるばかりで元本が全く減らない状況が出現したり,さらには新たな借金をしなくなっても利息によって債務がますます増大する一方となる状況が出現することになる。 そこから先は,債務者が現実にどのようにつらい目にあうのかは多言を要しないであろう。
    毎年,借金苦で多くの人々が自ら命を絶っている。冷静に考えれば命を絶つよりも良い選択肢はきっとあるはずだが,多重債務はそのような冷静な判断力すら鈍麻させてしまう。
    そこで,何とか多重債務状態を解消する必要が生じる。

  • 多重債務の原因

    (1) 自己の返済能力を超えた借金
    指摘するまでもないが,自己の返済能力の範囲内の借金であれば問題は生じない。
    多重債務の原因が自己の返済能力を超えた借金にあることは間違いないだろう。
    ただし,以下の通り,現在の法制度やクレジット・サラ金業界の実務によれば,「返済能力を超えた借金」という状態が簡単に生じてしまうという事実を看過してはならないのである。
    (2) 業者の利息制限法違反の高金利
    利息制限法という法律がある。利息制限法によれば,原則として次の基準を超える金利は法的に無効である。

    元本年利
    10万円未満の場合20%
    10万円以上100万円未満の場合18%
    100万円以上の場合15%

    ところが,多くのサラ金業者は,公然とこの基準を超える金利を適用して融資を実行している(クレジット会社のキャッシングも同様である)。
    上記の利息制限法上の上限金利をよく覚えていただいた上で,クレジット・サラ金業者がテレビ広告やチラシ等に小さい活字で表示している利率を注意して見ていただきたい。
    上記を超える利率が当然のように表示されているはずである。
    なぜこのようなことがまかり通っているかといえば,利息制限法違反には罰則がないからである。
    利率に関して刑事罰を定めている法律として,出資法という法律がある。出資法の上限金利は原則として29.2%であり,出資法の上限金利を越えた利率を適用すると刑事罰の適用がある。
    よって,多くのクレジット・サラ金業者は,利息制限法を超え,出資法の上限金利以下の金利ゾーン(いわゆる「グレーゾーン」)で営業している。
    (3) クレジット・サラ金業者による過剰融資
    クレジット・サラ金業者による過剰融資は,してはならないものとして一応規制されてはいる。
    しかし,クレジット・サラ金業界の実務を見る限り,この規制に実効性はないようである。
    現状においては,借金しようと思えば,いくつかのクレジット・サラ金会社にあたると,大して収入もないフリーアルバイターや主婦のような立場にある人々が200万円程度の借金を作ることは簡単のようである。
    多くの人々が,「審査を経た上で借金できるくらいだから,自分が頑張れば返済は可能なのだろう」というぼんやりとした期待を抱く。
    しかし,この期待は容易に裏切られる。
    年利25%程度の金利で200万円の借金を作ったらどうなるか。
    利息だけで年間50万円を返済しなければならない。
    月々の利息の支払いは4万円を超える。
    しかも,これは利息の支払いだけである。
    月々4万円強を支払っても元本200万円は一向に減らない。
    通常は将来の完済を目指して元本も返済するのであろうから,月々の支払額はかなり控えめに言って5万円を超えることになる。
    借り入れたお金を費消した後,ある意味で見返りのない毎月5万円超の支出を長期にわたって継続できる人はそれほど多くないはずである。
    支払いが利息分にさえ不足するようなことになれば,新たな借金を作らなくても,借金の残高は利息によって雪ダルマ式に自然増加する。
    こうなると破綻はほぼ必定である。
    (4) みなし弁済規定
    前述の通り,利息制限法違反には罰則がないとは言え,制限利息超過部分は民事的には無効であるから,業者の側から超過部分を請求することはできないし,仮に超過部分を払ったとすれば,無効な支払いということで払った分の返還を請求できるのが法律上の原則である。
    しかし,例外規定を定める法律として貸金業規制法という法律があり,その43条によれば,債務者が,貸金業者に対して任意に利息を支払った場合には,本来無効なはずの利息制限法を越える部分についても例外的に有効とみなすものとされている。
    これを「みなし弁済」という。
    つまり,業者の側から強制的に払えと要求することはできないが,借主側が任意に払った場合は有効な支払いであるから,後で借主側から返還を請求することはできないということである。
    このみなし弁済制度は,借主側に圧倒的に不利であり,いかにもクレジット・サラ金業界に迎合した法規定であるから,いくら何でも酷すぎるということで,弁護士達が今まで裁判で争った結果,裁判所もみなし弁済が認められる要件を限定するようになったので,今では裁判の場で安易にみなし弁済が認められることはなくなった。
    つまり,借主側が法的にきちんと争えば,利息制限法を超える分の利息は支払う必要がないのは勿論のこととして,さらに,過去に利息制限法を超えて支払った額は取り戻すことができるということである。
    しかし,クレジット・サラ金業界は,借主側が無知であるのをいいことに,未だに借主が利息制限法を超える利息を支払う義務があるかのような顔をして,本来取り立てることができないはずの借金を平然と取り立てている。

  • 多重債務状態においてよく見られる状況

    多重債務状態においては次のような状況が見られる。
    (1) 放置(自転車操業含む)
    借金が自分の返済能力を超えているという自覚がありながら,特段の措置も講じずに状況を放置することである。
    返済期限が来た分に充当する目的でよそから借り入れる自転車操業的な借り入れが伴うことも多いであろう。
    債権者からの取立てがあまり厳しくないうちは,期間の長短はあれ,多くの多重債務者がこのように状況を放置している期間があるものと思われる。
    しかし,放置は問題の先送りで,全く問題が解決しないばかりか,自転車操業的な借り入れにより債務総額が増大したり,返済能力がないのに借り入れを行った行為が不誠実な行為であるとの評価を受け,後日の法的手続の際の足かせになったり,余計に問題が大きくなること必定である。
    (2) 夜逃げ
    夜逃げの目的は債権者からの取立てを免れることであろうから,住民票を移動させることはできない。
    健康保険もあきらめるしかないだろうから病院は自腹になるし,子供がいれば小学校に通わせることもできなくなる。
    孤独な世捨て人のような人生を歩みたいと思っているごく一部の例外的人を除けば,夜逃げが多重債務問題の解決につながらないことは明らかである。
    (3) ヤミ金に手を出す
    ヤミ金(=ヤミ金融)というのは,法の規制を全く無視して営業している金融業者である。
    真っ当な金融業者は様々な法律の定めによって規制されており,10日で1割の利息(トイチ)といった金利でお金を貸したり,「金を返さないと家に火をつけるぞ!」といった脅迫行為を用いた取立てなどは行わない(このような行為は違法である)。
    しかし,ヤミ金はこのような法の規制は全く無視しているので,10日で3割といった,常識はずれな利息の約定で金を貸したり,脅迫的言辞を用いて取立てを行ったりする。ヤミ金は当局からの取締りを受けると困ることから,自分の足がつかないように債務者に対しては自らの携帯電話番号しか教えないなどの工夫をしている。
    通常,ヤミ金に手を出すのは,適法な金融業者がもはや貸付をしてくれない状況に陥ってからである。
    適法な金融機関に融資を断られる者には,ヤミ金からの借金を返済する能力がもはやあろうはずもなく,ヤミ金からの借り入れは事態を悪化させるだけである。
    (4) 紹介屋にひっかかる
    紹介屋というのは,自分では直接融資を行わず,別の貸金業者を紹介して融資を受けさせ,その手数料名下に金員を支払わせる業者をいう。
    紹介屋が自ら紹介屋と名乗ることはない。
    自ら融資するような宣伝文句で客を集め,客から一応情報を聞き取って信用調査をしているような振りをして,結論として「自分のところでは融資できないが,他を紹介することはできる。」などとして別の貸金業者を「紹介」し,その紹介料を請求するのである。
    紹介屋がその「紹介」した貸金業者に対して融資が行われやすくするような働きかけをすることはまずないと言われている。
    実際には,融資の基準が甘そうな貸金業者を教えているだけのようである。
    とすると,高い紹介料(融資金額の3割から5割とも言われる)を支払うだけ無駄である。
    そもそも,働きかけをしているように債務者に伝えながら,現実に働きかけをしていなければ詐欺である。
    債務者が「紹介」を受けた貸金業者を訪れ,「紹介」がなされた形跡があまりにもないのに気づき,そこでの借り入れを止めたとしても,既に債務者の自宅・職場などの情報を入手した紹介屋はしつこく紹介料の支払を求めてくることがありやっかいである。
    (5) 買取屋にひっかかる
    買取屋というのは,客が持っているクレジットカードで換金性の高い商品を買わせ,その商品を客から半値以下で買い取り,さらにこれを転売して利益を得る業者をいう。
    自ら融資をする形ばかりの姿勢を見せることもあるようであるが,実際に自ら融資は行わない。
    客にしてみれば,一時的には現金が手に入るわけだが,結局クレジットカードの決済において全額を支払わなければならないので,商品購入金額の半値以下でしかその商品を買い取ってもらえなかったとすれば,実質的には元金の100%以上の金利を支払う融資を受けたのと同じことである。
    このような状況は,多重債務の状況をさらに悪化させるものであることはもちろんのこと,そもそも換金目的でクレジットカードで商品を購入する行為は不誠実な行為であるとの評価を受け,後日の法的手続の際の足かせにもなる。
    (6) 整理屋にひっかかる
    整理屋というのは,債務整理を行うと見せかけてその債務返済原資又は手数料名下に法外な金員を支払わせ,実際には債務整理のために有益なことはほとんど行わない業者をいう。
    弁護士と提携して,適正・妥当な法的手続による債務整理がなされるかのような外観が作出されていることもあるのでやっかいである。このような弁護士は,発覚次第,弁護士会から懲戒処分を受けるなどの措置が取られているが,後を絶たないようである。
    整理屋にひっかかった多重債務者にはお気の毒であるが,多重債務の客観的状況としては確実に悪化していると言うより他ない。

第2章 多重債務者の心構え

  • はじめに

    多重債務状態に陥った場合,できるだけ早めに弁護士などの専門家に相談した方が良いと言われている。 全くその通りではあるが,現実問題として普通の人々にとって弁護士は必ずしも身近な存在ではなく,法律事務所の門を叩くのは心理的に敷居が高く感じられてしまうであろうし,ただでさえ借金で首が回らないという問題を抱えているのに,その解決を弁護士に依頼するというのではますます問題が大きくなっていくような気がして,なかなか弁護士に相談しようという決心がつかないことも多いであろう。 弁護士などに委任すると,べらぼうなお金を取られるのではないかという心配もある。 そこで,弁護士に依頼する前であっても,多重債務者として持っておくべき心構えを,最低限度の知識と併せて本章で述べておくこととする。 借金苦で自殺する人が多いという事実が示すように,多重債務者の多くは,借金の取立てに追われて精神的に非常に追い詰められているケースが多いが,本当は,そこまで精神的に追い詰められる必要はなく,借金で自殺する必要などないということがこの章を読めば分かるであろう。

  • 借金を返せなくても牢屋に入れられることはない

    一般論として,悪いことをすれば犯罪者として牢屋に入れられる可能性がある。
    ただし,ここにいう「悪いこと」というのは犯罪行為であると明確に法律に定められている行為のみである。
    例えば,人を殺したり人のものを盗んだりする行為は刑法という法律に犯罪行為として定められている。
    ところで,「借りたお金を返せない」ということは,約束を守らないという意味で,世間的な言い方に従うならば,「悪いこと」であろう。
    しかし,「借りたお金を返せない」というのは,今の日本の法律上は,犯罪行為とはされていない。
    よって,借りたお金が返せなくても牢屋に入れられることはないし,その他罰金などの刑罰を科せられることはないのである。
    逮捕されたり,その他警察のご厄介になることもない。
    もっと言えば,「返せない」ではなくて「返さない」であっても犯罪行為にはならないのである。
    例えば,「返すお金は十分にあるが,貸主と喧嘩して気分が悪いので返さない」という行為に出たとしても,犯罪行為ではないのである。
    注意しておきたいのが,最初から返すつもりがないにもかかわらず,それを隠して借金を申し出てお金を出させるようなことをすれば,嘘をついて金を出させたということになり,これは刑法上の詐欺罪にあたるから,牢屋に入れられる可能性があるということである。
    しかし,普通の人はそうではないはずである。
    多くの人は,借りる時は将来きちんと返済するつもりで借金しているはずである。
    そうだとすれば,結果的に経済的に苦しくなって借金が返せなくなったとしても,何ら犯罪行為には該当しないのである。
    借金を返さない又は返せない場合,裁判を起こされて「借金を払え」という意味の敗訴判決を貰う可能性がある。
    しかし,このような敗訴判決を貰うことも犯罪行為ではない。
    また,敗訴判決を貰うと,その後,判決に基づいて強制執行を受けて,自分の財産が借金返済のために召し上げられる可能性がある。
    しかし,このような強制執行を受けることも犯罪行為ではない。
    犯罪行為ではない以上,警察のご厄介になったり,逮捕されたりすることもない。
    結局のところ,借金が返せなくなったとしても,言い方の当否は別として,「ない袖は振れない」の態度を一貫させていれば逮捕されたり刑務所に行ったりすることはないのである。
    逆に,無理な返済要求に応えようとするあまり,将来返済のあてが全くない状態で別の業者のところへ行き,その業者に対しては返済する気がないにもかかわらず,それを秘して新たな借金を重ねたり(詐欺罪に該当しうる),クレジットカードで購入した高額商品を直ちに質入して現金を手に入れるような行為(横領罪に該当しうる)などに出る方が事態としては悪いのである。
    最終的に刑務所にまでは行かなくて済む程度であったとしても,その後の正しい債務整理にとって無用な足かせとなる可能性がある。
    繰り返すが,「借金を返せない」は犯罪行為ではない。
    こんなことは,弁護士でなくても多くの人々にとっては当たり前すぎる知識だと思われるが,多重債務に陥った人のうち,このあたりの知識を持ち合わせていないか何となく不安に思っている人達が少なからず存在するように思われるのである。

  • 「裁判を起こされる」ということは特に困った事態ではない

    債権者が債務者に対して借金の返済を求める際に,「借金を返してもらえなければ,裁判に訴え出て強制執行をするぞ」などといった脅し文句がしばしば用いられる。
    多くの人たちは「裁判」になるという事態を恐れている。
    多くの人々にとっての裁判のイメージはどういうものであろうか。
    テレビドラマか何かのシーンでありそうであるが,裁判長が手に持った木槌で机の上を叩いて「静粛に!」などと申し渡す厳粛な雰囲気の法廷の中で,手錠・腰縄をはめられた犯罪者である被告人が,「懲役5年」といった判決の言渡しを受け,その後被告人は牢屋へ入れられるといったイメージであろうか。
    これは実は,「刑事裁判」である。
    かつ,このようなイメージにすら,実は現実の刑事裁判からはかけ離れた描写が含まれているのであるが,そもそも借金が返済できなくて裁判になるといった場合の裁判は「刑事裁判」ではなく「民事裁判」である。
    前述の通り,借金を返せないのは犯罪行為ではないから,刑事裁判にはなりえないのである。
    「民事裁判」と「刑事裁判」は全く違うものである。
    「民事裁判」というのは,平たく言えば,お金の貸し借り,売買その他の取引におけるトラブルなど,民間人どうしの争いに対して公の立場から決着をつけるという手続である。
    例えば,一方が「お金を貸したので返せ」と言い,他方が「いや,借りた覚えはないので返さない」と言っている場合に,お互いが裁判の場でそれぞれ自分に有利な証拠を出し合い,最後に裁判所が証拠をもとに判断して「お金を貸したことが認定できるので返しなさい」とか「お金を貸した事実は認められないので返さなくても良い」という判決を出すという次第である。
    民事裁判では,間違っても「被告は借金を返さなかったので懲役5年にする」などといった判決は出ない。民事裁判は「お巡りさん」,「検察官」,「手錠」,「腰縄」,「牢屋」,「刑務所」などとも無縁である。
    裁判に出頭するとしても,自宅から電車に乗って裁判所に行くだけである。
    裁判に行く際の服装も普段着で問題ない。
    人からお金を借りて,まだ返済していない人が貸主から裁判を起こされ,その裁判で原告(貸主)が勝訴して借主である被告(民事裁判では「被告」であって「被告人」ではない)が敗訴した場合,「被告は原告に対して○円を支払え」という判決(被告敗訴判決)が出される。
    ただ,「○円支払え」という判決を出した裁判所が,敗訴した被告(借主)の家にそのお金を取り立てに行くということもないし,敗訴被告が判決通りにきちんと払ったかどうかを裁判所が確認することすらない。
    さて,このような敗訴判決を貰うというような事態は,借主にとって恐れるべき事態なのか。
    もちろん,借りてもいないお金を返せというような裁判を起こされたならば,これは恐れるべき事態であるし,徹底して争う必要がある。
    しかし,借主側において借金した事実や返済すべき金額に争いがないとすれば,「お金を返せ」という敗訴判決を貰ったとしても,これは極めて当たり前の判決である。判決によって「支払え」などと言われようが言われまいがもともと返済すべきものであったのだから。
    よって,このような民事裁判で借主が敗訴判決を受けること自体にはあまり不利益はないと言って差し支えない。
    「欠席裁判」という言葉は良く知られている。
    裁判に欠席すると敗訴判決を受けてしまうということであるが,予想される判決内容が自分にとって争いようのない当たり前のものであるとすれば,欠席裁判によって敗訴判決を受けたとしても特段不利益はない。
    裁判を欠席したからといって,逮捕されたり,罰金を払わされるということもないし,刑務所に入れられることもないし,裁判所から怒られるということもない。単に敗訴判決をもらうというだけのことである。
    借りた事実や金額が真実であるとすれば,敗訴して当然であろう。
    敗訴して当然の判決ならば,欠席判決を貰っても特段不利益はないのである。
    もっとも,敗訴判決が予想される裁判であっても,裁判に出頭するメリットが全くないわけではない。
    原告・被告の双方当事者が出頭していれば,判決に至る前に両者の話し合いに基づく和解によって訴訟が終了するケースも多く,借金の取立て裁判においても,本来であれば請求額の全額を一括弁済しなければならない状況であるにもかかわらず,債務者側との話し合いによって分割払いや一部債務免除が盛り込まれた和解が成立することも多いからである。
    よって,裁判を起こされた借主側としては,堂々と裁判に出て行って,分割払いや債務の一部免除などを盛り込んだ和解による解決の要求をしてみるのも良いだろう。
    もちろん,和解は双方当事者の合意が必要であるから,債権者が同意しない限り和解はできないが,仮に和解が成立せずに判決になったとしても,先に述べた通り,それは当たり前のことであって,特段不利益なことではない。
    では,金を貸した側はなぜこのような裁判を起こすのか。
    それは,「○○円払え」という判決書あるいは和解によって成立した当事者双方の合意内容が書かれた書面(和解調書)があることによって,次の強制執行という段階に進むことができるからである。

  • 「強制執行される」ということは特に困った事態ではない

    強制執行というのは,国家権力に基づく強制力をもって,私人の有している権利内容を実現する手続である。
    例えば,貸し付けた100万円を返してもらえない場合に,貸主は国(裁判所)に強制執行を申し立てることによって,債務者の持っている家や自動車や給料などの財産を国(裁判所)が差し押さえて換価(競売)するなどして,得られたお金を貸主に支払ってくれる。
    強制執行を申し立てるためには債務名義と呼ばれるものが必要である。
    債務名義というのは,確定した判決内容を記載した判決書や和解内容を記した書面や一部の公正証書など,対象となる債権が確かに存在することを公的に示す書面である。
    公正証書でない貸金契約書などは,いくら本人の実印が押してあっても債務名義にはなりえない。
    よって,強制執行したい債権者は裁判を起こして勝訴判決を得て債務名義となる判決書を入手しようとするわけである。
    さて,この強制執行されるという事態は,借金の借主にとって恐れるべき事態なのか。
    強制執行という手続は,国家が主体となって行うことから,強制的に実行される反面,執行を受ける債務者側の生存を脅かすような過酷な取立てはなされない。
    例えば,強制執行により給料を差し押さえられて債務の弁済に充当される場合であっても,給料全額が持って行かれる訳ではなく,ある程度の額は債務者の生活のために残してもらえる。
    また,家財道具その他の生活必需品は差し押さえられないし,同じ意味で年金も差し押さえられない。
    結局,強制執行により取り上げられて換価される物は,土地・建物などの不動産,自動車,その他の高価品,給料の一部などである。
    強制執行しても債務者の側で十分な財産を持っていない場合には,結局債権者が債権の満足を得ることはできないことになる。
    多重債務者の場合,めぼしい財産がない場合がほとんどであるから,強制執行したとしても債務が満足されることはまず期待できない。
    しかし,強制執行の結果,債務を弁済するための財産が不足していることが判明したような場合であっても,不足分につき債務者が強制労働させられるなどということはないし,犯罪行為にも該当しないから逮捕されたり罰金を払わされたり牢屋に入れられたりすることもない。
    もちろん,債務者が強制執行の対象になるような財産を持っていれば,それは取り上げられて債務の弁済にあてられることになるが,これはもともと支払うべきものを支払ったという意味で当たり前のことである。生活必需品まで取り上げられる訳ではない。
    このように見てくると,強制執行を受けることはさほど困るような事態ではないように思えるのだが如何だろうか。
    これが例えば,全く身に覚えのない債務で強制執行を受けて自分の財産を失いそうになっているという事態であれば非常に困ったことであるが,身に覚えのある債務であれば,ある意味当然のことであり,さほど恐れることではないのではないかと思われるのである。

  • 借金の返済が滞ったために困るのは貸主の側

    借金の返済が滞り,複数の貸金業者から毎日のように督促を受けるようになると,「困ったな」と思う気持ちが生じるのも自然なことである。
    しかし,本当に困っているのは誰かについて少し考えてみたい。
    借りている側は,借りたお金が返せないでいる状態にあるが,このこと自体は借主側にとって不利益なことではない。
    本来であれば,返済によって手元から出て行かなければならないお金が出て行かないという話であるから,むしろ「お得」な状態とも言える。
    他方,貸主の側はどうであろうか。
    貸主は,将来返済してもらえると思って借主に対してお金を渡してしまったにもかかわらず,そのお金が返ってこない。
    この状態が続けば明らかに損である。
    よって,返済が滞った状態において本当に困っているのは貸主の側なのである。
    貸主の側としては,返済が滞っているという状況を何としても変更する必要がある。
    ところで,少なくとも現在のわが国の法制度を前提とすると,法的な手続によって現状を変更させるにはかなりの労力と費用がかかり,かつ実りが多いものでもない。
    例えば,貸主の側は,法的手続によって債権の満足を受けるためには,貸金返還請求の裁判を起こして勝訴判決を得て,その判決書を債務名義として債務者の財産に強制執行するという手段を取る必要があるが,このような手段をとること自体相当に煩瑣である。
    しかも,このような面倒な法的手続を取ったとしても,債務者が財産を持っていなければ結局意味がない。
    そうすると,貸主としては何としても借主から任意で貸金を返してもらうしかないのであるから,債務者に対して一生懸命に督促を続けるのである。
    督促を受けた債務者の側は,ひそかに「ああ,貸主は困っているから必死なんだなあ。」くらいに思っていれば良いのであって,少なくとも自分が精神的に追い詰められたような気分になる必要はないのである。

  • 債務者の義務は借金返済義務のみ。業者の言いなりになる義務はない

    お金を借りた債務者の義務は,借りたお金(+利息)を返還する義務のみである。 お金が返せないからといって,返すためのお金を別の人や業者から借り入れてくる義務があるわけではない。 つまり,「よそから借りてきてでもうちの債務を返せ」という要求には応じる必要はないのである。 同じく,「返せないんだったら,ここで働いて返せ」などと言って貸主が紹介してくる仕事をする義務もない(世間でよく出される例として,男性であればマグロ漁船に乗り込み,女性であれば風俗店で働くような仕事を求められるケースがあるとのことである)。 まして,自分の目玉や肝臓を売って返済資金を用意する義務など全くないし,返済資金を用意するために犯罪行為のお先棒を担ぐようなことをする義務もないのである。 「返せないものは返せない」というだけのことであって,あくまでも債務者の義務は貸金の返還義務のみであるから,貸金業者からの不当な要求は断固謝絶すべきである。

  • 親兄弟は責任を負う必要はない

    法律上は,親子も兄弟も他人である。 借金を返す義務があるのは借主のみであって,借主の親や兄弟や上司などに返済義務はない。 「親の借金は子供が面倒見るべきだ。」「従業員の借金は会社が払うべきだ。」などという理屈は法律の世界では通用しない。 もちろん,借金していた親が死亡したために子供が借金を相続した(相続放棄もしなかった)というような場合や,保証人になっているという場合には債務の相続人としての義務や保証人としての義務が生じる。 しかし,このような場合ではなく,単に親兄弟であるという理由だけで他人の借金を背負わされることはないのである。

  • 「やってはいけないこと」

    どんなに多重債務状態が苦しくても,次のような行動は絶対に回避しなければならない。
    これらはいずれも問題の先送りにしかなっておらず,かえって将来の債務整理を困難にするからである。
    このような行為をするぐらいであったら,「手元にお金がない以上返せない」と開き直った方が格段に良い。
    (1) 分割払いで購入した商品を質屋などで処分する
    分割払いで購入した商品は所有権が留保されているのが普通であり,全額を支払い終わるまでは購入者の所有物にならない。
    よって,購入した商品を直ちに処分したりすると(通常,契約違反の行為のはずである),他人の物を勝手に処分したことになるから横領罪の罪責を問われかねない。
    (2) 返すつもりがなく借りたり,借り入れの際に嘘をつく
    借金を申し入れるということは,「将来返す」という意思の表示を伴うものである。
    返すつもりがないのに借りるということは,返すつもりもないのに返すつもりであるかのように見せかけて相手方から金を出させるということである。
    このような行為は詐欺罪に該当しうる。
    その他,自分の資力など重要な点について嘘をついて借金する場合も同様に詐欺罪に該当しうる。
    (3) 業者から借り入れたお金で親戚・知人の借金を返済する
    法律の考え方は,債権者は皆平等という考えである。
    クレジット・サラ金業者も親戚・知人も等しく債務者にお金を貸している債権者として平等に取り扱われる。
    よって,経済的破綻の状態にある場合に,一部の債権者だけに特別な利益を与えるような行為は許されない。
    このような行為をした場合,後の破産手続などにおいて手続上の障害の原因になる。

第3章 債務整理に関する基礎知識

  • 多重債務状態の解消方法

    (1) 自力で返済する
    自力で適法に稼いだお金で借金を全て返済し終えることができるのであれば,これはこれで結構なことであるが,それが不可能というのが多重債務という問題である。
    自力では約定の返済を履行し続けることができないというのを前提として問題の解消方法を探るより他ない。
    (2) 身内や友人に金銭的に援助してもらう
    これは,多重債務問題に対する1つの解決策にはなる。
    実際,多重債務状態に陥った子供の借金を全て親が肩代わりして解決するといった事例も多い。
    ただし,気をつけなければならないのは,このように他人任せのような形で問題を解決してもらった多重債務者が再び多重債務に陥るケースがけっこう多いということである。
    将来二度と多重債務問題を起こさないためにも,ある程度自分も苦しんで反省を深めるという経験が必要であるのかも知れない。
    その意味では,多重債務者を援助するとしても,債務整理のための法的手続を取らせるための手続費用や弁護士費用などに限って援助するというという援助方法も考えられて良い。
    また,自己破産手続をして免責決定を得れば,それまでの借金の返済義務はなくなるのであるから,身内が金銭的援助をするのであれば,破産手続が終了した後に,債務者のその後の生活再建資金を援助すれば良い。
    近い将来の破産が見えているのに,身内からの好意の金銭的援助が,そのままサラ金の返済に回ってしまうのは何とも勿体無い。
    (3) 法的な手続に基づいて整理する
    法律に基づいた適正な手続により,誰からも法的非難を受けることのない多重債務の整理方法がいくつか用意されている。
    ほとんどの多重債務のケースにおいて,このような法的手続に基づく整理を行うのがベストの解決策である。
    多重債務に陥った場合は,まずは法的な整理方法を十分に検討してみるのが先決である。
    そうした上で,なおも法的手続以外の措置(例えば夜逃げなど)の方が優れるという結論に至るケースはほとんどないはずである。

  • 法的な債務整理手続の種類

    法的な債務整理手続には以下の通り複数の種類がある。
    それぞれにメリット・デメリットがあるので,どの手続を選択するかについては債務の状況等を踏まえて決定すべきこととなる。
    (1) 任意整理
    裁判所を介さずに,個別に債権者との交渉を行い,分割弁済,将来利息の免除等の合意を得た上で,合意に基づいて返済を行う方法である。
    (2) 特定調停
    裁判所に申し出て,裁判所を介して債権者との間の合意を形成し,その合意に基づいて返済を行う方法である。
    (3) 民事再生(個人再生手続)
    裁判所に申し出て,債務の一部免除や分割払いなどを盛り込んだ弁済計画を裁判所に認可してもらい,その計画に従って返済を行う方法である。
    住宅ローン付きの住宅を失わなくて済む方法が用意されていることや,破産による資格制限を受けないなどのメリットがある。
    (4) 破産
    裁判所に申し出て,債務者の全財産を処分して全債権者に公平に分配する手続である。
    実務上は,破産手続に引き続いて行われる免責決定を得るのが主目的である。
    免責を受けた場合,破産手続後に残った債務(租税債権や悪意の不法行為による損害賠償債務などを除く)は免除される。
    つまり,もう借金は返さなくて良いということである。
    なお,法律上,次のようなケースでは原則として免責を受けられないことになっている。
    ・ 財産隠しをした場合
    ・ 特定の債権者にだけ特別の利益を与えた場合
    ・ 浪費・ギャンブル等の射幸行為をした場合
    ・ 前回の破産・免責から7年が経過していない場合
    ・ 裁判所に虚偽の申告をした場合  など
    ただし,上に該当する場合でも例外的に免責が認められることもある。
    破産を申し立てる人の中には,分不相応な出費をしたり,ギャンブルをしたために借金を増やしたので免責を受けられないかも知れないというようなケースが結構見受けられるが,実務上は,裁判所に対して誠実に真実を申告すれば多くのケースで免責が認められている。

  • 破産のデメリットはあまりない

    「自己破産を申し立てる」ということに対して,強い抵抗を示す人も多い。
    「破産者になれば人生は終わりだ」というような間違ったイメージを持っている人が多いからだと思われる。
    しかし,実際上,多くの人達にとって破産者になることのデメリットはあまりないと言って差し支えない。
    破産することの法的なデメリットは,弁護士や税理士になれないなどの資格制限がある(ただし,免責を受ければこの資格制限もなくなる)ことと,一度破産・免責手続を経るとその後7年間は再度破産・免責という手段を取る事ができないことくらいであろう。
    破産したとしても戸籍に載ることはないし,選挙権を失うこともない。
    破産した場合,官報に氏名と住所が掲示されるが,普通の人は官報を見る機会はないし,破産手続を弁護士に委任した場合,債務者本人が裁判所に出向かなければならないのは1回くらいであるから,周囲の人達に自分が破産したことを全く知られずに済むことも多い。
    実際上,現在わが国では年間20万人を超える人が自己破産しているそうであるが,自分の周囲で破産した人を知っているということは少ないのではないだろうか。
    破産手続の関係上,各債権者に対しては裁判所から通知が出されるから,自分が借りている債権者には自分が破産したことが知られてしまう。
    よって,会社から借金をしている場合には,破産の事実が会社に知られてしまうことになるが,そうでもなければ,裁判所がわざわざ債務者の勤務先に通知を出すようなことはないので,勤務先に内緒にしたままで破産手続を進めることも可能である。
    その他,破産すると,いわゆるブラックリストに載せられその後の借金が困難になるということはあるが,これは法的な制裁ではないし,破産でなくても借金が返せなくて債務が焦げ付いた状態になっただけでもブラックリストの対象になるのであるから,ブラックリストに載ることは破産を回避する理由にはならない。

  • ブラックリストに載ることのデメリットはあまりない

    債務整理をすると業者のブラックリストに載せられるのが嫌だという人もいる。 しかし,ブラックリストに載らないためには業者の言いなりに借金を支払う必要があり,それができない以上ブラックリストに載せられたとしてもやむをえないであろう。 ブラックリストに載せられたとしても,予想されるデメリットは,今後新たな借金ができないというだけであり,それはむしろ借金生活からの脱却というメリットとも考えられる。 しかも,そのブラックリストは誰でも自由に閲覧できるものではなく,基本的には業者に対して新たな借り入れの申し入れがあった際に,その業者が加盟しているブラックリストを参照するという程度のものであるから,ブラックリストに掲載されているということを自分の周辺の人に知られてしまうという心配はまずない。 また,ブラックリストに掲載されている情報は,登録から7年くらいで消滅するようであり,その後は再び業者からの借金も可能になる。 もちろん,この7年間程度は借金できないわけであるが,7年程度の期間で借金依存体質から脱却できるのであるからむしろ結構な制度であろう。

  • 本当の債務額は業者が主張する額よりも小さいことも多い

    前述の通り,クレジット・サラ金業者は,利息制限法に定める最高金利よりも高い利息を平然と主張して返済を求めてくるから,本当に法律上の義務をもって返済すべき金額は業者が主張する金額よりも小さいことが多い。

  • 過払い金が戻ってくることもある

    クレジット・サラ金業者が請求してくる金額は,利息制限法に定める最高金利よりも高い利息を適用したものであるから,請求金額をそのまま長年支払い続けると,法律上の義務をもって返済すべき金額をさらに超えて支払っているというケースが生じる。 業者の側は,これについては債務者から任意に支払われたものだから,貸金業法に基づく「みなし弁済」として有効な弁済であると主張するのであるが,今の裁判実務上はこのような業者の主張はほとんど認められない。 ということは,本来の義務を超えて業者に支払った分については,不当利得であるとして業者に対して返還を求めることができるのである。 実際上も,債務者本人としてはあと50万円ほど債務が残っているという認識であったにもかかわらず,弁護士が調べてみると逆に50万円ほど支払いすぎており,この50万円を業者から取り戻すことができたというようなケースも決して稀ではないのである。

  • 弁護士による債務整理の進め方

    弁護士に債務整理を委任する場合,まずは相談から始まる。
    問題の性質上,債務整理の法律相談については相談料無料としている弁護士も多い。
    有料であるとしても30分5,000円+消費税という程度が一般的である。
    有料が嫌であれば,最初に電話で相談料を尋ねて,有料であった場合にはその弁護士に相談しなければ良いだけである。
    もちろん,有料相談,無料相談を問わず,相談だけ受けて,弁護士への委任はしないということも自由である。
    委任しないからといって怒り出す弁護士はいないだろう。
    弁護士に委任するとなれば,その弁護士に対して着手金や報酬金を支払う必要がある。
    弁護士は弁護士費用のうちの着手金を一括で請求するのが通常であるが,債務整理については問題の性質上弁護士費用の分割払いを認めている弁護士も多い。
    弁護士が債務整理に着手して,その旨を各債権者に対して通知すると,各債権者から債務者本人に対する直接の取立て行為は停止する。
    その間に弁護士は債権調査を進めて,債務者がかかえている本当の債務額はいくらなのかを明確にする。
    債権調査が終了し,債務の全貌が明らかになった段階で,債務者の資力その他の要素を勘案して,どのような手続で債務整理をするか,方針決定することになる。
    任意整理ということになれば,弁護士が各債権者と交渉して分割払いなどの個別和解を成立させることになるし,破産や民事再生ということになれば,弁護士が申立書を作成して裁判所に対して申し立てるということになる。
    弁護士が債務整理を受任してから債権調査を済ませて債務整理に決着がつくまで数ヶ月以上を要するのが普通であり,その間は債権者からの債務者本人に対する取立ては停止しているのであるから,債務者としては,従来各債権者に対して毎月返済していた金額を,弁護士費用の分割払いにあてることができる。
    任意整理や民事再生手続により各債権者に対する返済計画が定まれば,それに従って返済を続けることになる。
    この返済手続まで有料で代行する弁護士もいるが,この代行がない場合には債務者自ら計画に沿って弁済することになる。
    破産手続を経て免責決定を得れば,もはや借金を返済する必要はないので,債務整理は終了である。
    債務整理が終了すると,その後しばらくは借金ができない生活になるので,その間に借金をしなくても良い生活習慣を築くことが肝要である。